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by 708-z

電話とテレビの位置

一昔前の日本の家の玄関を入ってすぐによく電話が置かれている。
アニメのサザエさん、ドラえもん、ちびまる子ちゃんのそれぞれの家の電話の位置を思い出してみたらわかりやすい。

何故なのか?

吉見俊也によると、家族が生活する家のなかで、電話は外的な社会に窓を開いているもので非常に異質なものだという。玄関はいうまでもなく、外的な世界への出入り口である。
つまり、外的な世界への窓という性質のため近くにおかれているのだという。

しかし、電話がコードレス化、ファクシミリ機能などと多機能化していく課程でしだいに家の中心である居へと電話が進出していった。現在の電話の位置というわけだ。

このことをふまえテレビの家での位置を考えてみた。
テレビは一家団欒時の娯楽の中心としていわゆる「お茶の間」の中心的存在として君臨していた。そう、家の中心である居間に位置していたのだ。テレビの家の中での存在意義は、家族全体へ娯楽を提供することであった。
ところが、録画機能付きのビデオデッキとレンタルビデオの普及、CATVやCS放送による多チャンネル放送の開始、家庭用テレビゲームの登場、はたまたテレビの低価格化と、多様化する価値観による家族内での各々の嗜好の分化によって、テレビは家の中心で家族全員で見るものから、家族各々別の場所で見るというように分散化しているといえるだろう。
それから、テレビよりもパソコンや携帯電話の登場で、テレビとの接触自体が短くなったことも、このテレビが家の中心ではなくなったことと無関係ではないであろう。

新しいメディアは人びとの価値観、家族生活を大きく変えてしまうのだ。
これは現代人が深くメディアと共棲しているからだ。
おそらく想像以上に我々はメディアから影響を受けていると考えるべきだろう。
by 708-z | 2006-01-15 03:20 | other